一番メンドクサイ事を、楽しんでみる「楽園 le paradis」

どうも、割とエッチなマンガも好きなおっさんです。(挨拶)

  • 自分の読むマンガの事とか

読みたいマンガ/気に入ったマンガは、その作家さんを見て集中的に収集する癖があります。
(もちろん、それをやると黒歴史まで漁ってしまうことも多々あるわけですがw)
また、それが連載されている雑誌に手を出すほうで、気がついたらマイナー系の季刊誌や別冊に手を出している事も。
そしてまた、お気に入りな作家さんを見つけては…というループが繰り返されます。


気に入るマンガの傾向が、自分でも判らないという無節操ぶりだったりするのですが、一つだけ共通するのは、「その発想は無かった!」とか「この視点は無かった!」という、発見の楽しみだったりするのかもしれません。
ただしその発見は、実は自分が読んでいなかっただけで、20年も30年も前からずっとそこにあったものだったりすることも多々あります。


そして、「恋愛」的なものを描くマンガは、少女漫画というジャンルが発達したこともあり、数多くの作品が描かれてきました。
しかしマンガがマンガであるが為に、現実的な恋愛からかけ離れたファンタジーだったり、読み手が幸せを感じる為のストーリーだったりすることも多いジャンルです。
高校時代にドツボにハマった"めぞん一刻"が、「狙って」描かれた作品だと知った時の衝撃と、それまでに見に染み付いてしまった、異性への待ちスタンスは、マンガが自分へもたらした唯一の悲劇と言えましょう。(笑)


成人してから私がこのジャンルで読むマンガは、いつからか、女性の描き手さんによる、女性心理の現実を錯覚させるほどリアルを模したストーリーモノが多くなりました。
「ナイーブ」やその他短編群の二宮ひかるさん、ドス黒さ全開「聖・高校生」の小池田 マヤさん、「シマシマ」「はるか17」の山崎紗也夏さん、最近では「モテキ」の久保ミツロウさんなどなど。
そんな現実があるのか?ないのか?それとも女性の心理の中ではこういう世界があるのか?というモヤモヤ感と共に、それを納得させてしまうだけの、泥臭いストーリーやドキッとする表情を描く作品に惚れてしまうのかも知れません。

  • もし上の文章にフムフムと頷く、対象範囲狭い人がいましたら

是非、表題のこのシリーズを読んで、悶えてみて欲しいのです。

楽園 le paradis


この雑誌に掲載される作品、どれを取っても、「面倒な恋愛も良いな!」と思える珠玉の作品ばかり。
描かれる内容も、同性愛だったり、エロだったり、学生時代の恋愛だったり恋愛ではなかったり、かと思えば明治文学の薀蓄だったり。
独自の濃い色を持つ作家さんをこれだけかき集めて、自由に描かせていて、しかし読んで見ると何か恋愛的な行動をしたくなるだけのまとまったパワーを持つという、奇跡のようなオムニバスです。


どことなく少女漫画の可愛さを残す絵のタッチで、ストーリーもすこしファンタジーなネタがある作品。
そこで描かれる「ちょっとおかしな男女の気持ちと関係」は、読んだ後にちょっとホッとします。ストーリーのまとまり感は、この雑誌でデビューとは思えない(汗)
Vol1で描かれた「薔薇だって書けるよ」も傑作ですが、Vol2/3で少しづつ「毒の入れ方」を学ばれて来ているようで、実にこの先も楽しみな新人さんです。

  • かずまこを さん


女性心理の不可思議を思い知らされる作品。Vol1〜3まで続き物ですが、1つだけ抜き出してもちゃんと読めます。
特に衝撃的なのは、Vol1の最終ページ。そこに至る経緯までも、かなりのドロドロとしたドラマではあるのですが、予定調和を思いつつ読み勧める読者に、よりによってそういうオチか…!という裏切りと、それを納得させてしまうだけの表情と物語に、参ったといわざるを得ません。


こちらは私が創刊号から購入し続けている「アフタヌーン」でも掲載歴のある、ある意味独特な雑誌には欠かせないお二人。
鶴田さんのユルい空気+女の子、沙村さんの壮絶なまでのネタSF短編、どちらも良いアクセントです。
Vol3の鶴田さんの女の子は、ある意味必見です。「現実の女性」であることそのものがネタになるのは、なんというか…w
そして沙村さん。…どうやったらこんなネタが思い浮かぶんだよ!^^; 毎回思うけどさぁ!w


シリーズではなく、毎回多めの枚数で、読み応えのあるショートストーリーを描かれています。
ストーリーテーマのオリジナル性や、その構成力の高さと共に、やや少ない線で魅せる「怒る」女性の表情の描き方がたまらない方。マンガだから伝えられること、というのが一杯詰まっています。
体調を崩されてしばらく休養とのこと。(残念…)ゆっくり休養して、また是非元気に活躍されて欲しい方です。


登場する女性の心理描写が素敵な方。ちょっと変わった行動を取るVol2の女性も、実際に居そうなVol3の少女も、おっさんが読んでもその気持ちが伝わってくるというのが、素敵な作品。
Vol2で登場する女性は、オチで徹底的に恥ずかしい思いをするのですが、男性が読んでも、この女性の方に思いいれを強くしてしまう位、マンガでの気持ちの伝え方の上手い方かなと思います。


( ゚∀゚)o彡゚メガネ!( ゚∀゚)o彡゚メガネ! …ではなくて(汗)
この方の作品は、倒錯と現実の境目や、妄想と現実の境目をずっとウロウロし続けるのが多いのですが、この雑誌で描かれた短編3作も、エロく不安定な精神を描く内容だったり。
エロなパートでも、そうでないパートでも、「理由なんかない!私はこういう気分!」という手のつけられない女性の一面や、「何かを求めているはずなのに、その何かがわからない」という、♂にとってみればめんどくささの固まりのような女性性を描かれています。
ああくそ、それなのに、この人の描く女性は素敵なんです。
ワガママな目、弱々しそうな目、エッチな時の目。そして裸の時の柔らかそうな身体から見える女性性。
読めば確実にストレスを感じてしまうけども、それを乗り越えてくる女性の魅力を思い知らされます。

  • 読み飛ばさせない構成と、Web連動

ここに挙げていない作家さんであっても、その内容が特徴的ではない…というわけではありません。
(むしろ、黒咲練導 さんなど、特徴的過ぎる人も居る)
オムニバス形式の雑誌というと、どこかしら隙が生まれたり、読み飛ばしてしまう作品が出てしまったりするのですが、この雑誌を買う層を的確に捉えて、異なる種類のマンガ群をまとめて魅力ある雑誌に仕上げてきた、この編集スタイルに脱帽です。


更に、この雑誌のWebサイト
白泉社|楽園
http://www.hakusensha.co.jp/rakuen/
は、通常のWeb連動とは全く逆の、「本誌の後」をWebに載せるという手法。読んだ人だけが味わえるアフターストーリー付き。
(このアフターストーリーで、「えー?!そういうオチ?!」的な驚きを提供してくださる作家さんの多いこと…)
販売促進というよりも、買った人だけ、思いがけず至れり尽くせりなサービスというのも、新しい…のかな?


おっさんの中では、ここ数年では一番お気に入りの雑誌となった、この「楽園 le paradis」。
もし上の文章で、一つでもティンと来たものがあれば、ポチって損はありません。今なら創刊から買えるのもメリットかなと。


是非、「読むと、したくなる」というコピーを持つ雑誌の力を、体験してみては如何でしょうか。