■「誰の責任なのか」という無責任


まずは、東日本大震災で、被災された方々へ、お見舞い申し上げます。
一刻も早い、「日常」が、帰って来る事を祈念し、お手伝い出来る機会があれば、出来るだけのことをしていきます。




さて。
Twitter、Blog、様々なメディアにて、「犯人探し」が始まりかけています。
現時点で、これを言うのは早急すぎるのに。いや、詳しく見れば、それは犯人探しですらなかったりも。


民主が悪い。
鳩山が悪い。
菅が悪い。
自民が悪い。

マスメディアが悪い。
アナウンサーが悪い。
新聞が悪い。

電力会社が悪い。
仕分けが悪い。
買占めする奴らが悪い。


果たして、そうなのでしょうか?
もっともらしい原因や、ソースがあれば、それが責められるのでしょうか?


あらゆる失敗は、その表層に見える2割の直接的原因と、その2割を支える8割の失敗を生み出す土壌によって生まれます。
単純に、料理中に包丁で指を切ってしまった…という失敗であっても、直接的に見れば「包丁を扱う時に不注意だった」という事で済んでしまいますが、ではその不注意を生み出したのは何か?という部分まで検討されることはなかなかありません。


ネットに溢れる、今回の災害がもたらしたあらゆる「対応のまずさ」と「その理由らしきもの」。


「だから原発とか作るのが間違い」
「もっと早く決断して水入れて対応していれば」
「停電計画が全くスムーズじゃない」
交通機関の動かし方がおかしい」
「マスコミが品不足を煽るから」
「仕分けで準備費削ったから」


これらの、一見「もっとしっかりやりやがれ!」「おまえのせいか!」と文句を言いたくなる失敗らしきもの。またその理由らしきものが、簡単に見つけられてしまうもの。
落ち着いて考えて下さい。それは、2割でしかないんです。
今回の震災への対処でこれまでに発生し、これからも発生するであろう、様々な失敗に対して、その直接の原因だけを責めないで下さい。
※実際には、その2割すら特定せず、単に「責任者でてこい」レベルのものすら散見されますが…


日本においては、ほぼすべての現場において、危機に対処し、実際に手を動かしている人たちは、本当に優秀なのです。
ネットの情報を集めれば、それらのヒーローが、本当に日替わりで何人も生まれているのを、目の当たりにしているでしょう。


だからこそ、ネットで批判をする時は、一旦考えてみて下さい。ソースは表層の失敗しか特定しないのです。
その失敗は、誰が生んだのか?その土壌は何なのか?


思ったことを、そのまま垂れ流せるのが、ネットの良い所でも悪い所でもあります。
ましてや、表層の2割であれ、失敗の原因を見つけた時、知った時の行動として、その内容を指摘したくなるのは当然の話。
それを止めろという事ではありません。ただ、そこから先に進む事を、「世の中そんな単純じゃねぇよな」という気持ちで、めんどくさがって止めちゃダメなんです。


とりわけ、日本は、表層2割の原因を見つけて、それを断罪し切り捨て、その失敗「だけは」繰り返さない事が非常に得意です。
そして、誰かが犠牲になって、失敗が再発する8割の土壌をそのままに、突き進んできてしまった。
平常時はそこそこ才能を発揮するのに、危機に弱い人間を管理職に祭り上げるのも、この部分と共通する話でしょう。
それでも今までは良かったと思います。


でも…そろそろ、止めませんか?
もう1段だけ、失敗の原因を掘り進めるという思考訓練をするだけでも、全く違う何かが見えてることがあるのですから。


もしかしたら、表層2割の原因の責任を取らされる人が、出てくるかもしれません。
しかし自分だけでも、
出来る限り。
落ち着いて。
怪しげなソースに惑わされる事なく。
その失敗の土壌を、探りたいな…と考えています。
それが部外者にできるんか?と言われると、難しいのですが。
ただ、単純に、その失敗の理由を見つけてバッシングする側には立たない事を、肝に銘じておきます。
…なんて、理想論もいい所で、実際にそれが完全に守れるかどうかは、自信がありませんが、気持ちだけでも。



■などと綺麗事を言っておきながら


”この災害で露呈した失敗を生み出した、8割の「失敗を生み出した土壌」とは何なのだろう?”という、現時点での自分勝手な推測。


一概に言えることではありませんし、それぞれに、失敗学の調査が必要でしょう。
しかし、ただ1点、共通することがあるかもしれません。それは、「マネジメント力の不足」。
もっと具体的に、キツイ表現で言い直しましょう。
「能力を発揮せずに、自分の立場や地位に固執する無能者が、責任者として蔓延っているシステム」では、こういう非常時に、失敗が露呈するのだと考えます。
そして、これに該当する人は、責任者といいつつ、責任を取る事もほぼありません。


経営努力しなくても利益だけは出る巨大企業に張り付いた役員達。
国家/地方予算からお金が降りてくる為に、事務員数名+役職者数十名などの歪な構成になっている、各種許認可団体の役職者達。
上手く要望と許認可を廻す事で、お金を集める事だけは達者な政治屋
批判することで成り上がったり、2割の直接的原因を潰しただけで耳目を集めた政治家。
(逆に、本人は張り切ってるが、その方向が180度どころか虚数軸にぶっ飛んだ政治家なんてのも居ましたがw)


今の時点では、これらを怪しい目で見てるというのが、私の勝手な推測です。
しかし、これもまた、「8割の土壌に見える、2割の表層」でしかないのかもしれません。


でも、そんな連中の元でも、自分の責務を果たした、名も無き現場の人たちの事も、決して忘れません。
被災された方、そして今被災地で汗を流されている方々に、必ず幸せが訪れる事を祈ってやみません。